イラク戦争とは何だったのか

実際の戦地で起こった体験により

実際の戦地で起こった体験により

PTSDを始めとした心的外傷

イラクという地獄から舞い戻り、いつもの日常に戻れたと喜ぶ兵士も多い。事実、死地に赴けば誰もが帰ってこれないかもしれないという一抹の不安は持つものだ。自衛隊が派遣される際にも、そうした問題がクローズアップされて関係者はお願いだから行かないでくれ、そう切実に隊員に頼み込む人もいたと言う。けれど自分たちのしていることは世界を良くするためだと信じて疑わないことから、何も恐れずに足を運んでいった。

そして無事に五体満足、それこそ怪我一つしないで帰国できたということにも感謝という言葉で言い尽せませんが、その実誰もが何かしら傷を負っているのでしょう。肉体的な傷は無くても、一番負担をもたらしていたのが他でもない心という精神にだ。

あるアメリカ人兵士は帰ってきた後も、自分がイラクにいるのかと錯覚するようになったという。それも何処にでもありふれた生活音ともいうべき音、それらがいつしか自分の命を狙っていると錯覚するまでになっていった。この兵士は戦地にて目の前で友人を乗せた軍用車が爆弾により吹き飛ばされて、現場を直視した頃から恐怖品や心理的圧迫などに襲われたという。

やがて自分はアメリカに帰ってきても、いつまでもイラクで戦争の最前線に立たされていると錯覚するまでになってしまったというのだ。心的外傷後ストレス障害、通称PTSDと診断されるまで時間はかかりませんでした。

日本人にも

何も前線で活躍した人間ばかりが心的ストレスを受けるわけではありません、同じことは日本人にも言えるからだ。イラク戦争の折、日本は後方支援という役割で実際の前線からは遠く離れた場所から米軍などを援助する任務が主流でした。それでも初めて戦地にいけるといって自衛隊員の中には心躍らされると思った人もいるというから信じられない。もし筆者が戦場へ行けと言われたら、この世の地獄と遂に対面するのかと、精神崩壊が起こってもおかしくないと覚悟するでしょう。

そう、自衛隊員の中には出発してからはそうでなくても帰国してから日常に戻る際、PTSDを発症して日常生活を営めなくなったという人が出てきたのです。戦地へ赴くまでは変調をきたすことはなくても、現実の世界における本物の、垣根なしの平等も不平等もない地獄として顕在する戦場を実際に目撃したことにより、精神崩壊を起こして自殺した隊員もいる。

その数は29人、決して少なくない人数だ。また死なずとも精神的に異常が見られて治療を続けているという人もいるため、メンタル面へ与える影響力は計り知れない。そんなことにも耐えられないなんて、などと言って無下にして良い問題ではない。戦争とはそう簡単に人を人たらしめんとする根幹を脆く打ち砕いてしまうのだ。

軍人とは何か

軍人として働く人たちは一体何を夢見て働いているのか。そうなるとかつて存在した侍や騎士といったものにも当てはまりますが、過去に存在した英雄たちにならって自分たちも名誉や武勲などといった形なきものに翻弄されて命を散らした若者が多くいた。戦争とはそういうものだ、そして現代における代表的なものとしてイラク戦争であり、戦地にて軍人たちがしていることはただ人を殺しているだけに過ぎない。

確固たる敵を倒しているだけなら良い、しかしそれは時として武力を持たない民間人を撃たなければならない状況まであった。ある米軍も初期は苛酷な任務ではなかったにしても、時間が経過するごとに激戦と化す前線へ駆りだされていく。やがて自分のしていることが正義などという大義名分で隠された、抵抗する気もない人ですら容赦なく殺し、例え投降したとしても待っている肉体的・精神的虐待という拷問が待っているだけだ。

結局、軍人とは一言で言えば『人殺しを率先して行う、国が用意した道具』でしかないのです。自衛隊員もそう、平和維持とはいうが有事の際には率先して前に出なければならない。その事実を改めて突きつけられたとき、精神が瓦解する人が多いのではないか。

圧政に近い侵略行為の果てに

イラク戦争は間違いだった、そう誰もが認めた時にはもう時すでに遅しだ。日本にしてもそう、派遣された人が自殺したという事実を覆せない、そもそも何をしたかったのかすら見えてこない虐殺により、現地の人々がどれほど蹂躙されたことか。死者がどれくらい死んだとか数の問題ではない、戦争という行いにより人間にもたらす精神的影響を鑑みない愚かさはいつまでも変わらないのだから、生存闘争という本能には逆らえないのかもしれない。

日本人にも銃を撃ちたい、ミサイルを発射してみたいと考えて入隊する人も事実としているという。こうした行いがやがて絶え間ない憎しみへと繋がり、現在の中東から南アフリカ大陸までを脅かす巨大武装勢力を生み出した、落し子が世界を混沌せしめんとする動きが加速的に動き出している。

そしてその影響は徐々に『戦争とは無関係の日本』というこの国の立ち位置を蝕むまでに至っていた。